奈良市美術館

妖怪POP 妖怪書家 逢香展 (実習生 K・A)

私のお薦め作品
「天平NOW」「道成寺鐘清姫」


「天平NOW」で印象的なのは目とその視線である。現代人は深層的に目が好きなのだろうか。好きなアーティストのロゴが目であったり、人と会えば最初に目を合わせたり。人々は視線を横から上に動かして生きている。その中で当作品のように、たまに視線を下に向ければ、過去が見つめ返してくる。
「道成寺鐘清姫」を見るとかつて舞っていた能楽を思い出す。能『道成寺』において、仕舞や謡で表現される清姫の情念が、当作品で墨によって髪から滲み出ていると感じた。その滲みが凄みへと変わっていき、いっそ彼女に生気を与え存在させているのだ。

天平NOW/2022
道成寺鐘清姫/2016