妖怪POP 妖怪書家 逢香展 (実習生 I・H)
私のお薦め作品
「天平NOW」
主な材料には墨を使用しながら、現代的な題材と妖怪を組み合わせた“妖怪書家 逢香“の作品群。「天平NOW」はその中でも大型で、筆・スプレー・ほうき等を用いて”平城京天平祭“の際に制作された。
まず目に飛び込んでくるのは、真ん中にある大きな人間の目。そしてその周りには平城宮にまつわる数々の妖怪たち。目の際に沈むような黒目と下方に延びる放射状の点線は観る者、つまり我々の目下に妖怪がいることを仄めかしているようである。また浮かび上がるように描かれる妖怪と、力強い“天平”の文字との対比も印象的である。モノクロで統一されていながら濃淡を極めて大きくすることで、妖怪たちの“存在の曖昧さ”が強調され、その奇怪な面白みが十二分に表現されていると言えるだろう。